迷い猫
行き倒れた猫を拾った。
次男を乗せたバスを見送ったあと、道の反対側になにやら茶色のカタマリが落ちている。
何か別のものだったらいいなぁ~という願いむなしく、やはり猫。大人にしてはやや小さめ。足を投げ出して横たわっている。
車にでも轢かれたのかなぁ。家の裏の猫墓地に埋めてやるしかないか。
ところが、ぴくっと足が動いた。生きてた。
驚いてよく見ると、轢かれたような目立つ怪我はない。場所が場所でなかったらくつろいで眠っているみたいだ。
しばらく悩んだ。連れ帰るか、見なかったことにするかの二者択一。連れ帰るということは獣医に見せたり世話をするわけで飼うも同然。
家に戻り、ありあわせのダンボールにボロきれを敷いた。古いバスタオル、捨てなきゃよかった。
怪我していたらどうしよう、引っかかないかしら、と恐る恐る猫を持ち上げようとすると、 抗議するように一度だけ頭を持ち上げてニャッと鳴いた。それだけで、あとは大人しかった。とても軽かった。 こんな目立つ道端で倒れていることといい、飼い猫かもしれない。首輪はないけれど。
連れて帰ったはいいが自慢じゃないがお金はない。飼い主がいればと一応迷い猫サイトで捜索願を当たってみるが、該当なし。
実は骨折していて治療費ン万円とか言われたらどーするよ、と思わないでもないが、とりあえず診断だけはしてもらうことにする。
あとでうちに販売に来るヤクルトさんの話を聞いたら、知人がやはり猫を拾って獣医に見せたら、入院治療で30万円請求されたとか。
グーグルで市内の獣医を検索して電話すると、最寄の動物病院は休みだったが2件目は開いていた。
診てくれた先生によると、猫は15歳ほどの高齢で、大事に飼われていたようだ、という。
小さいから若いのかと思ったら違ったようだ。
肩に怪我をして膿んでいるのと、高齢のため、家に戻る途中で力尽きて倒れたのではないか、と。
「猫は死期が近くなるといなくなる、というのは、出先で力尽きて家に戻れなくなるからなんですよ」
昔実家で飼っていた猫も、ある日戻らずそのままだった。
できるのは栄養剤の注射をするくらいで、それでもし動けるようになれば、拾った場所に帰してあげればいい。自分で帰れるだろうから、 とのこと。その注射が5000円くらい、と聞いてうわぁと思ったがお願いした。さよなら1日分のパート代。
肩口の小さな穴のような傷からは、信じられないくらい大量の膿が出た。オキシドールを何回も注入しては洗っていた。
痛いのか猫は時々ぴくっとするけれど、あとはなされるがままだった。それから注射を何本か。
最後に、体温が下がっているので、使い捨てカイロを敷布の下に敷いてあたためるように言われた。
「一晩たって、動けるようになるかもしれないし、冷たくなっているかもしれない。」
そうかもなぁ。
結局会計は注射・診察代合わせて5000円弱だった。負けてくれたりしたんだろうか。
ダンボール入り猫を家のどこに置いたらいいかなぁと悩み、玄関に置いている。LDKがワンルーム状態の我が家では、 リビングやキッチンでは物音で落ち着かないだろうし、猫の臭いもきついのできびしい。洗面所にするか、玄関にするかで、一応玄関。 設計時にペットを飼う前提をしていないのを思い出す。
その後、帰ってきた長男は玄関のダンボール箱に猫が入っているとは気付かず、そそくさと友達の家へ遊びに行った。次男は 「この箱なあに?」と早速聞いてきた。勝手に開けられても困るので猫だと言ったら、構いたくて仕方ない様子。 「病気でねんねだから開けちゃダメだよ」と言い含める。
次男に見せるのと様子見がてらにダンボールの蓋を開けると、ぐったり眠っていた猫はいつの間にか体の向きを変え、
警戒心もあらわにこちらをしっかり見上げていた。
お家に帰りたかったら、頑張れよ。
***追記
時々自分で動いて、体の向きを変えたりするようになったので大丈夫かと思っていたら、朝を待たずに息を引き取った。
先生の言った通りほとんど老衰だったのか。
手遅れならば、保護するだけでそっと寝かせておいてあげればよかった。私の自己満足で最期に余計なことをしてかえって苦しめ、
体力を奪ってしまった。
でも一方で、お家があるなら帰してあげたかったとも思う。
猫は、どう思っていたのだろう。






昨日は、洗濯して洗濯して洗濯して洗濯した。高水位×4回。干すのに使ったハンガーは何と29個、小物を干すピンチハンガーも、2個フルに使用。





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